図書館のソーシャルメディア活用法

図書館員の間でソーシャルメディアの活用が広まっています。コミュニケーションツールとしての重要性を感じている人が多いようです。図書館サービスにおけるソーシャルメディアの活用について、戦略的計画やベストプラクティスなどの主なポイントをまとめましたので、以下でご紹介します。記事の最後で、ソーシャルメディアの活用を始めるあたって参考にしていただける具体的なアイデアもご案内しています。

図書館のソーシャルメディア活用法

1. 図書館の利用促進に役立てる

ソーシャルメディアプラットフォームは、書籍やコレクションを利用者に広く知ってもらう手段として活用できます。図書館の資料やサービスについての認知度を高めて利用促進を図りましょう。

2. 効果を測定する

GoogleアナリティクスやFacebookの統計情報を利用して、ソーシャルメディア活動の効果を測定できます。どのような活動に効果があるのか、反応が多くなるのかがわかります。うまくいった方法を今後の活動で積極的に活用するようにしていくといいでしょう。

3. 適切なプラットフォームを選ぶ

ターゲットとするユーザー層を特定し、その層がどのソーシャルメディアをよく利用しているのかを調べましょう。オンラインで調べてみれば、ユーザーの年齢などによってよく利用するソーシャルメディアが異なることがわかります。たとえば、Instagramのユーザーは、半数以上が34歳以下です

4. 市場調査

ソーシャルメディアを活用して、どのコレクションについてユーザーの評判が良いか、あるいは悪いかについて情報を集めてみましょう。また、詳しい情報を得ることが役に立ちそうな領域が他にもあれば、それについても調べてみましょう。

5. ポリシーに沿って運用する

ソーシャルメディアポリシーを策定し、どのアカウントでもどのスタッフでも倫理基準に沿った利用が徹底されるようにしましょう。図書館のソーシャルメディアポリシーのサンプルがありますので参考にしてください。

6. 管理プラットフォーム

ソーシャルメディア管理プラットフォームを利用すればソーシャルメディア活動を効率的に管理できます。管理プラットフォームは、無料で操作も簡単なものがいくつも出ています。図書館員の間でもっともよく使われているのがHootsuiteで、次によく使われているのがTweetdeckやFeedlyです。

7. 前もって計画を立てる

ソーシャルメディアカレンダーを作り、投稿するコンテンツの計画を立てましょう。長い目で見ればその方が時間の節約になるうえ、コンテンツにバリエーションを持たせることができます。所属機関の年度予定に合わせて年間活動計画を立てるのもいいでしょう。たとえば、試験の時期に学生の対策に役立てられるような所蔵資料を紹介することなどが考えられます。

8. 双方向のコミュニケーションを図る

コンテンツを投稿するだけでなく、他のユーザーのコンテンツにも反応しコミュニケーションを取ってみましょう。やりとりを交わしていくと何か新しい発展があるかもしれません。オンラインコミュニティに参加しているという意識を持つことが大切です。

9. 利用者サービス

学生はソーシャルメディアで活発に活動することが多く、図書館員はユーザーとのコミュニケーションの手段として、他の図書館員とつながる手段として、主要ソーシャルメディアを活用し、利用者サービスの提供に役立てています。

10. 教育と学習

YouTubeなどのウェブサイトは、情報収集、学習および教育に有効活用できるツールです。図書館サービスでソーシャルメディアプラットフォームを利用して、特定の資料やコレクションについての解説を投稿することで、所蔵資料の紹介と同時に教育活動を行うこともできます。

11. アウトリーチ活動

画像などのコンテンツを共有することは、図書館の活動を広く知ってもらう上で有効です。特定のイベントや最新情報の告知に合わせて行ってもいいですし、単に資料の活用法を知ってもらう目的でもいいでしょう。

12. ソーシャルメディア戦略

図書館としてのソーシャルメディア戦略を策定し、それに沿って運用しましょう。戦略は、ソーシャルメディア活動を自館の目的に沿った形で展開していく上で重要です。来館者を増やすことが目的であれば、図書館の認知度を高め、ユーザーの反応を引き出すような投稿をするといいでしょう。

13. トレーニング

図書館のさまざまなスタッフがソーシャルメディアアカウントに投稿する場合は、ベストプラクティスに関するトレーニングを実施するようにしましょう。全スタッフが同じカレンダーと戦略に沿って動くようにすることが重要です。

図書館のソーシャルメディア活用のアイデア

applying social media infographic

コンテンツのプロモーション: Taylor & Francisが提供しているコンテンツプロモーションツールとして、ソーシャルメディア用画像もご用意しています。ご所属の図書館で利用できるTaylor & Francisのコンテンツの認知度向上にご活用ください。

ライブチャット: インドの図書館で「図書館員に聞いてみよう」と題して、図書館員がライブチャットで学生からの質問に答えるキャンペーンを行っている例があります。複数の図書館の図書館員がネットワークでつながり、全員で質問に答えられるようになっています。

画像を活用: 米国の複数の図書館では、オンラインで画像を投稿して図書館に実際に足を運んでもらうきっかけ作りに役立てているといいます。「図書館でどんなことをしているかを見てもらうことができます。夏に向けて蔵書を充実させている、電源コンセントや椅子を増やしているなど、写真を撮って、こんな場所を用意していますよと知らせると、とても良い反応がありました」

Instagram: Instagramを使って、コレクションに関連する画像を投稿してみましょう。たとえば、米国のある大学では、精神医学の歴史に関する所蔵コレクションに関連して、昔の骨相学の図の画像を投稿したといいます。

ユーザー投票: ユーザー投票機能を使えば、教室で対面して1人ずつ聞くよりも簡単に、一度に大勢の学生の意見を知ることができます。

Goodreads: Goodreadsで新しい書籍を紹介し、ユーザーレビューの投稿を呼びかけ、そこでのフィードバックをコレクションの拡充の参考にすることができます。「Goodreadsで、教員や学生の皆さんの間で話題になっているものの、まだ図書館で所蔵していない本、そもそも自分の守備範囲に入っていなかった本についても知ることができ、注文のきっかけになって助かっています」

Taylor & Francisが実施した「図書館のソーシャルメディア利用」調査の結果から、参考にしていただけそうなアイデアをご紹介しました。この調査結果は、図書館のソーシャルメディア利用の全体像を知る資料として、また個々の図書館と自館を比較する自己評価に役立てたり、新しいアプローチを試みるきっかけにしたりするなどしてご活用いただけます。調査報告書はこちらからダウンロードできます。